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「坐忘」とは

6月になり、やっと梅雨入りし、徐々にアジサイの花に色気が付いてきました。

そして雨のない朝晩、ひんやりして、さわやかな日々が続いています。

 

この様に、爽やかであればいいのですが、会員さんの中には、過去の恋愛や失恋に捉われて前向きに行動できない方が稀(まれ)にいらっしゃいます。別れた彼、彼女のことを何時までも引きずって考え、心が今一つ晴れないのです。

 

私の好きな歴史上の人物に勝海舟(坂本竜馬の師匠)がいます。山岡鉄舟、高橋泥舟とともに三舟と呼ばれていました。この勝海舟が盛んに言っていた言葉の一つに“座忘”があります。

 

”座忘とは、何事もすべて忘れてしまって、胸中闊然(きょうちゅうかつぜん)として一物をとどめざる境地に至って、始めて万事万境に応じて縦横自在の判断が出る”と話しています。

 

早い話が胸に気がかりなことがあって、あれや、これやと、心配ばかりしていては、自然と気力が失せて神経が疲れて大事な判断を間違える。ああすればよかった、こうすればよかったと考えるのは馬鹿げた話だということです。

 

また将来のことも同じで、あれの、これのと、心配ばかりしていてはよい考えは湧きません。止水明鏡(しすいめいきょう)の心持で潮時を待てばよいと思います。

 

見合いをしても上手くゆかないのではないか、デートをしても上手くゆかないのではないか。いつまでも過去を引きずっていてもしょうがありません。

 

でも人生、潮目というものがあります。必ずよい潮目になるときがあります。それを根気強く待てばよいのです。人間10年先20年先のことは誰にもわかりません。今から考えてもしょうがないことです。

 

物事心配ばかりしていては肩がこってしょうがありません。気持ちを楽に持って、今この時を大事に行動しましょう。

 

勝海舟 勝部真長編“氷川清話”は私の愛読書の一冊です。子母沢寛著“父子鷹”は板妻主演で映画化され、板妻好きな私の父親がこよなく愛した映画でした。