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運を強くする方法(認知的焦点化理論)とは

世の中面白い事を研究している人がいるもんですね。その名も「認知的焦点化理論」。

 

難しそうに聞こえますが、「運がいい人」「モテル人」とはどこがどう違うのかを、研究したものです。

 

「オレには運がない…だから出世もしないしカネもないし女にもモテない」――そう嘆くのは早い。最新の研究では、「運を呼び込む習慣」があるというのだ。そこで重要なのは幸運の人と不運の人を隔てるものが何かを知ることである。この奥深きテーマに確率論ではなく心理学的なアプローチで迫るのが、「認知的焦点化理論」だ。

 京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授が説明する。

「人が心の奥底で何に焦点を当てているかに着目した研究です。ひと言でいえば、ある人が物事に向き合うときに、どのぐらい他人のことを配慮できるかという観点から、人を分類しようとする試みです」

 

 人は家族→友人→知人→他人という順に、心理的な距離が遠くなる社会関係を持っている。一方、人は物事に対処する際に、「現在のこと」「2~3日先」「自分の将来」「社会の将来」など、思いを及ぼす時間に幅がある。この「関係軸」と「時間軸」が現在の自分(両軸の原点)より離れれば離れるほど、配慮範囲が大きくなる。

 

 極端に利己的で目先の損得にしか関心がない人は、配慮範囲の面積が小さい(例・犯罪者)。逆に、赤の他人や遠い将来のことまで思いを馳せることができる人は、面積が大きくなる(例・幕末の志士)。

 

 藤井教授が長年の研究から導き出したのは、「配慮範囲の面積が広い利他的な人ほど得をし、面積が狭い利己的な人ほど損をする」という結論だ。

 

歴史上の人物にも、「利他行為」によって認められ運を呼び込んだ人物は多い。

 

 織田信長の草履持ちだった豊臣秀吉(当時は藤吉郎)は、四六時中信長の動静を注意深く見守りながら、懐で草履を温め、軒下に犬のようにうずくまっていたともいわれる。彼は出世して大坂城を築城する際も、奉行が棟梁らから見積もりを取ろうとしたのに対し、「言い値でやらせてやれ」と指示した。払ったカネはいずれ自分に戻ってくると信じていたのだ。

 

 丁稚から身を起こして松下電器(現パナソニック)の創業者となった松下幸之助は、1929年の世界大恐慌で会社が打撃を被った際、工場の生産能力を半日分、落としたものの、工員を解雇せずに日給の全額を支払った。

「半日の工賃など、長い目で見ればたいしたことはない。それよりも従業員を解雇して会社の信頼にヒビが入るほうが問題だ」と語ったという。また、失敗を犯した部長の自宅に電話を入れ、奥さんに「旦那はしょげて帰ってくるから、夕飯にお銚子の2本や3本をつけてあげるように」と気遣ったと伝えられる。

 

“小学校卒”から総理大臣にまで昇りつめた田中角栄は、ほとんど面識のない議員が資金繰りに窮して泣きついてきた際も、「困った時はお互い様だ」と彼の借金の額より多い500万円入りの紙袋を渡したという。秘書や守衛、運転手など目下の者に対しても、毎日労いの言葉を忘れなかった。

 

以上は、週刊ポストの古い記事ですが、経済界という雑誌にも認知的焦点化理論が載っています。勿論、藤井聡先生のお話です。

 

お見合いでも、交際の時でも、相手に気を使うことができる人ほど、幸せを手にできるようです。お相手に気を使いながら振られたっていいじゃないですか、この利他の心根が巡り巡って最後には大きな幸せとして自分に帰ってくるのですから。